紀国正典著「アダム・スミスの国家破産論―国家破産なき学問体系と学問方法の解明―」が高知大学学術情報ディポジトリに掲載されました

このたび、紀国が研究をすすめてきました「国家破産・金融破産」研究の第5作「アダム・スミスの国家破産論―国家破産なき学問体系と学問方法の解明―」(高知大学経済学会『高知論叢』第119号、2020年10月)が、高知大学学術情報ディポジトリに掲載されましたので、ご案内申し上げます。

ご関心のある方は、次をクリックして高知大学学術情報ディポジトリにアクセスしていただき、拙稿論文をダウンロードしていただくことができます。
ご意見のある方は、投稿ページ(意見交流)にてご意見を賜れば幸いです。

アダム・スミスの国家破産論―国家破産なき学問体系と学問方法の解明―

本論文の構成は次のとおりです。

はじめに
第1章 アダム・スミスの研究足跡と時代背景
アダム・スミスの生涯と研究足跡
アダム・スミスの生きた時代

第2章 アダム・スミスの学問体系と学問方法
アダム・スミスの研究足跡と学問体系
経験主義アプローチ
ニュートン主義アプローチ

第3章 グラスゴウ大学『法学講義ノート』にみる国家破産論

第4章 『国富論』にみる国家破産論

第5章 国家破産なき学問体系―アダム・スミスの残した課題
スミスの国家破産なき学問体系
経験主義アプローチによる解明
ニュートン主義アプローチによる解明

おわりに

「アダム・スミスの国家破産論」をとりあげた意義について、本論文の「はじめに」において、次のように語っております。
「本論文では、アダム・スミスの国家破産論を考察する。(以下スミスと略記する)
スミスの国家破産論を取りあげる意義について、わたしは次のように三つを考えている。
一つは、スミスがジェイムズ・ステュアートと共に経済学を近代科学として確立し、「経済学の父」と賞賛されていることは多くの人の知るところであり、そのスミスが国家破産というテーマをどのように取りあげているのかを論じること自体に、意義はある。
ただしそれだけでなく、スミスの経済学は現代では、新古典派経済学や市場原理主義経済学などの、国家破産を防止できないだけでなく、気候変動破産を促進する役割をしている経済学を勢いづかせる役割をもっているので、それを抑止するためにもスミスの国家破産論を検討しなければならないのである。
二つめは、スミスの国家破産論を、「国家破産なき学問体系・学問方法」として考察することである。これまでの学説は、もっぱら重商主義批判としてのスミスの国家破産論だけに目を当ててきたが、重商主義批判の土台を形成した彼の学問体系は、「見えない手」に導かれた「自然的自由の体系」であり、国家破産は起こり得ないのである。
そうだとすると、スミスには、「国家破産ありの学問体系」と「国家破産なきの学問体系」が並存していることになる。スミスの国家破産論を解明するには、この両側面に目を配り、その学問体系と学問方法にまでさかのぼって検討しなければならないのである。本論文の副題に、「国家破産なき学問体系と学問方法の解明」としたのは、この両側面について考察するという趣旨である。
三つめは、これまでのスミスの国家破産論のほとんどが、スミスの「公債論」、つまり「財政破産論」として研究されてきた。しかし、国家破産は、財政破産に限らない。破産を、「人間が持続的な管理・運営に失敗し、思考と行動の一大変革を強制されること」と定義してみると、破産は、個人破産から企業破産、銀行破産、自治体破産、地域破産、政府破産そして国際破産へと規模が拡大し、さらにその要因から分類してみても財政破産、貨幣破産、金融破産、経済破産、気候変動破産、災害破産、戦争破産へと広がる。2)
わたしが本論文で、スミスの国家破産論という場合にも、そのような広い意味で使っている。このような多様な意味での国家破産という視点から、スミスの国家破産論を検討するつもりである。
以下、次の順序で検討をすすめる。
第1章「アダム・スミスの研究足跡と時代背景」と第2章「 アダム・スミスの学問体系と学問方法」においては、スミスの生涯と研究足跡を追いながら、スミスの学問体系と学問方法を検討してみる。
第3章「グラスゴウ大学『法学講義ノート』にみる国家破産論」と第4章「『国富論』にみる国家破産論」では、重商主義が国家破産を引き起こしたのだというスミスの重商主義批判としての国家破産論(重商主義国家破産論)およびスミスの提案する重商主義国家破産からの再生案について検討してみる。
第5章「国家破産なき学問体系―アダム・スミスの残した課題」においては、国家破産なきスミスの学問体系について検討し、なぜそのように至ったのかについて、スミスがその学問方法を確立した初期の研究成果の『天文学史』を深く検討して、解明を試みる。
最後に、「おわりに」において、これらの検討結果をまとめてみる。」

以上です。
ご笑覧いただければ幸いです。

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