紀国正典著「気候変動破産―人類を救えるか:TCFD最終報告書―」ダウンロードのご案内

このたび、紀国が研究をすすめてきました「国家破産・金融破産」研究の第4作「気候変動破産―人類を救えるか:TCFD最終報告書―」(高知大学経済学会『高知論叢』第118号、2020年3月)が、高知大学学術情報ディポジトリに掲載されましたので、ご案内申し上げます。

ご関心のある方は、次をクリックして高知大学学術情報ディポジトリにアクセスしていただき、拙稿論文をダウンロードしていただくことができます。
ご意見のある方は、投稿ページ(意見交流)にてご意見を賜れば幸いです。

気候変動破産―人類を救えるか:TCFD最終報告書―

本論文の構成は次のとおりです。

はじめに
第1章 破産の定義・分類と気候変動破産
破産の定義
破産の分類と気候変動破産

第2章 気候変動破産とその特性
気候変動破産の特性

第3章 自然環境変動破産とIPCC報告書
IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)
IPCC第5次評価報告書(2013年から2014年)
IPCC特別報告書(2018年、2019年)

第4章 社会環境変動破産とTCFD最終報告書
気候関連財務ディスクロージャー・タスクフォース(TCFD)
TCFD最終報告書が求める情報開示手続き
TCFDが必須条件として要求する五つの改革作業
TCFDの情報開示手続きが求める作業手順
なぜ金融部門に対して特別仕様の情報開示か
なぜ非金融部門(4グループ)に対して特別仕様の情報開示か
TCFD最終報告書の意義と課題

おわりに

「気候変動破産」をとりあげた意義について、本論文の「はじめに」において、次のように語っております。

「本論文は、地球温暖化やそれによる気候変動現象を、「人間の破産行為」として位置づけ、その考察を試みた研究成果である。
地球温暖化やそれが引きおこす気候変動現象は、人間が地球環境の持続的な管理・運営に失敗したことによる結果であるので、明らかにそれは「人間による人間の破産行為」である。しかもその規模と範囲からみても、国家破産であり、国際破産なのである。したがって、これらの現象を「気候変動破産」とよばなければならない。
気候変動破産をとりあげる意義として、次の四つをあげることができる。
第1に、気候変動破産が、人類にとって未知で未経験の国家破産・金融破産そして国際破産だからである。
第2に、気候変動破産が、人類史上で最大規模であり、しかも最も長期にわたる国家破産・金融破産そして国際破産となるからである。
第3に、気候変動破産が、その終局の結末として、人類もふくめ地球上の生物すべてを消滅させる人類破産を生み出すかもしれないからである。
第4に、気候変動破産が、共同利用という側面からみて最高度の公共財である地球環境の崩壊現象だからである。
以下、次の順序で考察してみる。
第1章の「破産の定義・分類と気候変動破産」では、人間の破産行為を定義・分類し、そのなかにおける気候変動破産の位置づけについて検討してみる。第2章の「気候変動破産とその特性」では、他の国家破産と比較することによって、気候変動破産の特性について検討してみる。第3章の「自然環境変動破産とIPCC報告書」では、人類が自然環境変動破産をどのように理解し、どのように対応しようとしてきたのかについて、 IPCCの報告書の検討から探ってみる。第4章の「社会環境変動破産とTCFD最終報告書」では、人類は社会環境変動破産をどのように理解し、どのように対応しようとしてきたのかについて、TCFDの最終報告書の検討から探ってみる。
本論文では、とりわけ第4章に多くを割かざるを得なかった。TCFD最終報告書の意図と真意がしっかりと理解されていなく、またそれを作為的にゆがめる政治の動きもあったからである。それゆえ本論文の副題に、「人類を救えるか:TCFD最終報告書」をつけ、そのことを明示した。なお枚数制限があるため、これ以外の論述については簡略にせざるを得なく、気候変動破産という視点からスケッチ(素描)した範囲にとどめた。今後の課題に残しておきたい。」

以上です。
ご笑覧いただければ幸いです。

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